2022.07.20 up

“無宗教”なのに信仰熱心な日本人

日本で宗教に関する世論調査を行ったところ、およそ6割の人が「信仰宗教なし」と回答しました。その一方で、日本国内に仏教寺院は約78,000、神社は約81,000も存在しています。これは日本に50,000店以上あるコンビニエンスストアの数よりも多く、信仰心の希薄な日本人のイメージとはギャップがあります。今回は日本人と神社の関係を紹介しましょう。

神社に頻繁に通う日本人

日本人には、人生の節目や、お祝い事があったときに神社を参拝する習慣があります。たとえば、女の子は3歳と7歳、男の子は5歳になると、家族みんなで神社に行って、子どもの健やかな成長を祈る「七五三」というお祝いを行います。また、1年の最初の日には神社を詣でて、新しい年の無事と平安を神様に祈願します。これは「初詣」と言って、毎年何万人もの人が神社の前に長い列をつくります。他にも志望校への合格、スポーツの大会での勝利、家族や友人が病気にかかったときの快癒祈願、安産祈願など、日本人は折に触れて神社を訪れます。神社は日本人にとって、とても身近な存在なのです。

参拝の作法

神社をお参りする際の、一般的なマナーをご紹介します。

  1. 神社の入り口には「鳥居」と呼ばれる門があり、鳥居をくぐる前には一礼します。ここから先は神様の領域となります。
  2. 鳥居をくぐると、「参道」と呼ばれる石畳の道がありますが、真ん中を通るのは避けましょう。なぜならそこは神様の通り道だからです。左右どちらかに寄って、進みましょう。
  3. さらに進むと、手水舎(ちょうずや)と呼ばれる心身を清める場所があります。柄杓で水をすくって、左手、右手、口の順番に清めます。
  1. 社殿の前にはお賽銭箱があります。金額は自由ですが、5円玉を入れるのが一般的です。これは日本語の「ご縁」との語呂合わせです。
  2. 最後に参拝です。基本は「二礼二拍手一礼」です。姿勢を正して深いお辞儀を2回行い、右手を少しずらして2回手を打ち、手を合わせて心を込めてお祈りします。そして、もう1度深いお辞儀をします。

また、逆に神社でしてはいけないこともあります。その一つが、ペットの連れ込みです。神様によっては、犬や猫を苦手とする場合もあるため、ペット同伴での参拝は避けましょう。

スタンプラリー感覚で神社巡り「御朱印帳」

近年、日本では神社巡りがブームになっています。その理由の一つとして「御朱印帳」の存在があります。御朱印とは、神社やお寺でもらえる「神仏との縁の記録」です。専用の御朱印帳を持っていくと、神社・お寺の名称や、祀られている神仏の名前を墨書きで書いてもらえるので、自分だけのコレクションを集めるようなおもしろさがあります。スタンプラリー感覚で神社巡りができるので、街歩きや旅行の新しい楽しみ方としても定着しつつあります。御朱印帳はデザインも豊富なので、日本にお越しの際は、御朱印帳片手に神社巡りをしてみても良いかもしれませんね。

このように、神社を訪れて神様に祈りを捧げることは日本人にとって自然なことなので、特定の宗教を信仰しているという自覚は希薄なのかもしれません。生活に深く根付いた素朴な祈りの気持ちは、日本人独特の信仰のありかたといえるでしょう。