更新日2025年04月21日
人事担当者インタビュー 株式会社ビー・ワイ・オー

他業種の転職希望者を積極的に雇用。外国人材が安心して働ける環境をサポート

株式会社ビー・ワイ・オー 経営企画・管理本部 人事部 課長

網野啓二さん

「和食・酒 えん」「おだしうどん かかや」「おぼんdeごはん」「和食屋の惣菜 えん」などの飲食店を全国で展開している株式会社ビー・ワイ・オー。同業他社に先駆けて外国人材の雇用を行なってきた。

面談・採用に直接携わり、東京都が運営する「TOKYO 特定技能 Job マッチング支援事業」のパネラーも務めている網野啓二さんに、採用実績や今後の展望について話を聞いた。

外国人材の積極採用でコロナ禍のピンチをチャンスに転換

――いつ頃から外国人材の採用を始めたのか

少子高齢化によって、日本人の採用に固執していては会社が立ち行かなくなるので、以前から外国人材の必要性を感じていました。

実際に採用を始めたのは2019年に特定技能制度が導入された頃で、その年の秋に自国内で試験が実施されるだろうと言われていたベトナムとフィリピンから10人ずつ内定を出しました。ところが試験は行われず、そのうちにコロナ禍になって日本で受験する道も断たれ、やむなく内定を辞退してもらいました。

そこで目を向けたのが、帰国困難になって留まっていた外国人材です。特定活動の在留資格が延長され、その間に特定技能を取得する人たちが増えていたんです。しかも日本語学校の留学が終了した人や、実務経験がありながら雇い止めにあった人など、滞在期間が長く日本語力も十二分に備わった人たちばかりでした。

コロナ禍で飲食業界は大打撃を受け、弊社でも閉店した店舗もあるし、他業種に移った社員もたくさんいました。それでもコロナが収束した時に上昇気流に乗るための準備として、外国人材の獲得を遂行。その経営判断が運よく功を奏したのです。

未曾有の苦境を耐え抜くことができたのは、外国人スタッフに助けられた部分が大きく、おかげで今年も新たな店舗がオープンする予定です。

――現在の外国人材の採用状況は

社員約400名のうち、170名が外国人材。日本人の社員数に並ぶ勢いで増えています(2024年3月期現在、以下同)。

国籍はネパール、スリランカ、ミャンマー、中国、カンボジアなど11カ国で、インドネシア人材は16名。各国バランスよく採用するようにしています。

和食居酒屋やレストラン、カフェ、バル、うどん専門店に惣菜店など多様な形態を展開していますが、運営しているブランドのほぼ全てで外国人材が働いています。

――配属店舗や担当部門はどう決めているのか

基本的にはキッチン業務からスタートして、ホールの仕事と両方できるようになってもらいます。キッチンの仕事を覚えると、日本語のレベルもどんどん上がっていきます。

もちろん、面談時に本人の希望もある程度聞くようにしています。「調理を本格的に覚えたい」と言われれば、和食の料理人に近い技術を学べるレストランチームの専門職で採用するケースもあるし、「日本語をもっと一生懸命やっていきたい」という人は、お客様と直接触れ合えるカフェやファストフード、惣菜系などに配属します。これらの店舗では全スタッフがホール業務をやりつつ、キッチンでフライパンを振ったり、揚げ物を揚げたりする調理も担当しています。

また弊社を志望する外国人材は、東京で働きたいという他県からの転職者がほとんど。引っ越しに関しても不動産に強い登録支援機関にしっかりサポートしてもらえるので、安心して地方から転職していただけます。

インドネシア出身の社員が外国人材初の店長に

――面談時には、どういう点を重視しているか

弊社では、日本語能力試験(JLPT)のランクを判断材料にすることはありません。N2を取得していればまた別ですが、N3あるいはN4しか持っていない人でも問題なし。重要なのは実際の日本語レベルですから、とにかくオンラインで直接話して、日常会話のレベルを確認することを最も優先しています。

なかでも介護と建築の特定技能生や、留学生だとコンビニのアルバイト経験がある人たちは本当に能力が高くて、実質N1レベルもいっぱいいます。介護経験者は日本人の僕らでも聞き取りにくいお年寄りのボソボソとした会話を、建築現場で働いていた人は棟梁のべらんめえ口調を理解した上で、仕事をこなしてきた訳ですから。

――社内で行なっている教育制度やキャリアップ支援

同業他社と優秀な人材の取り合いになっている中で、日本人の社員と同等の外国人材リーダーを作っていくことが必要不可欠であり、そのためには特定技能2号取得のバックアップをしっかりやっていこうと思います。

うちでは受験料を会社が負担しており、不合格になって再挑戦する際も同様にしています。今後は日本語の勉強会も行う予定です。

現在までの合格者は7名で、今年の5月に行われる試験には18名が申し込んでいます。実際に「特定技能2号の支援はやっていますか?」という問い合わせや、前の会社ではサポート体制がなかったので弊社への転職を希望したという人も多い。

同時に、次のステップとして新入社員の初動教育も整えていきます。各ブランドに外国人材のリーダーを配属し、同じ国籍の後輩たちの指導に当たってもらうようにすれば、コミュケーションの面でつまずくことなく、スムーズに基本業務を覚えることができるので、この体制を2年後までに確立させたいと思っています。

――インドネシア人材の評価はいかがですか

日本に長くいる人や大学を出ている人も多く、皆さん大変優秀ですし非常に頼りになる存在です。

また「何をするために日本にいるのか」ということを明確に持っています。例えば「私は割烹料理に行きたい」というように、具体的な目標をはっきり言ってくる。そのような心構えが、本人たちの成長や仕事の成果につながっているのでしょうね。

何といっても、入社5年目にして外国人材初の店長に就任したのがインドネシア出身の女性社員です。現在「おぼんdeごはん」に勤務していて、今年の5月に特定技能2号に切り替えになります。彼女に続いてインドネシア人材から店長候補が出る可能性もありますし、リーダー的役割を大いに期待しています。

――日本で働くことを希望しているインドネシアの方々へのメッセージ

弊社は飲食業なので、食べることや料理を作ることが好きな方、うちの料理性や各ブランドに興味がある方に来ていただきたいです。ご縁があって採用になりましたら、皆さんが自分の夢に近づけるように協力させていただきますので、一緒に頑張って楽しく仕事をしていきましょう。

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