公開日2026年04月09日
人事担当者インタビュー第2弾 オイシーズ株式会社

オリジナルの漢字テストやイラスト中心の教材で独自の2号試験対策勉強会を実施

管理本部 人事部 マネージャー
三谷麻粧美さん

天ぷら・天丼の「金子半之助」やつけ麺「つじ田」などの人気飲食店を国内外に展開するオイシーズ株式会社では、2026年1月時点で76名の特定技能人材が活躍している。「日本で長く働きたい」という彼らの希望に応えるべく、同社は2024年から長期就労ができる在留資格「特定技能2号(外食)」の受験支援を本格化。資格取得の補助金や合格お祝い金などの制度を整え、挑戦を後押ししてきた。

さらに、2025年12月からは独自の「特定技能2号試験対策勉強会」をスタート。過去の受験者がつまずいた漢字を中心に指導し、必要な知識を楽しく身に付けられる場を提供している。責任者の三谷麻粧美さんに、現場の生の声を生かした勉強会づくりについて伺った。

<外国人材採用のきっかけや教育体制について聞いた、第1弾のインタビューはこちら!>

2号試験受験者の経験を自社の勉強会に生かす

――外国人材の採用について、現在の状況を教えてください。

2016年の設立以来、私たちは外国人材の採用に力を入れてきました。2026年1月時点で、外国籍従業員は97名、そのうち特定技能人材は76名在籍しています。

キャリアアップの事例も続々と生まれていて、店長や副店長への昇進者は62名、グループ全体では6名の管理職が誕生しました。「実力があれば正当に評価される」という認識が社内に浸透してきたからか、最近は従業員が友人や家族を紹介してくれる“リファラル採用”が増えました。東京や大阪、名古屋などの都市部は、ありがたいことに紹介だけでほとんどの採用枠が埋まっている状況です。

――特定技能2号(外食)人材も増えているそうですね。こちらについて詳しく教えてください。

オイシーズでは特定技能2号を目指す従業員に対して、2024年から専用チャットグループでの情報共有や相談対応のほか、補助金や合格お祝い金制度の導入などを進めてきました。そのかいもあって2号試験の合格者は年々増えており、今年1月の試験では11名中、社内過去最多となる8名が合格しました。

試験のノウハウが蓄積される中で、問題の傾向や、彼らがつまずきやすいポイントも見えてきました。その知見を生かし、昨年12月にスタートしたのが「特定技能2号試験対策勉強会」です。この勉強会を実施するうえで、合格者だけでなく惜しくも不合格だった従業員にもヒアリングを行い、“先輩たちの生の声”を詰め込んだ内容にしています。

――勉強会はどのような内容ですか?

試験範囲である「接客全般」「飲食物調理」「店舗運営」「衛生管理」の4科目を、1ヵ月に1科目ずつ、2時間半かけて指導しています。まずはなじみ深い「接客」「調理」から始め、次に副店長業務に関わる「店舗運営」、最後に最難関の「衛生管理」と、科目の難易度に応じて段階的に学ぶ戦略をとっています。すべての勉強会を終えた翌月には模擬試験を行い、理解度を確認できるようにしています。

出典:オイシーズ株式会社

“漢字力”が合否を分ける

――この勉強会のポイントは?

勉強会の冒頭に実施する「漢字テスト」です。2号試験の経験者にヒアリングをする中で、「テキストにはルビがあるのに、本番の試験問題にはルビがない」という悩みが一番多く聞かれました。音で聞けばわかるのに、漢字だと読めずに誤答してしまうケースが多く、漢字がどれだけ読めるかで合否の差がついてしまう人もいました。

そこで、AIも活用しながら間違えやすい漢字を25問ピックアップし、読み方を答えてもらうテストを毎回行うようにしました。勉強会の最後にはフィードバックを行い、間違えた人が多い漢字を共有します。また、勉強会で使った資料やテストを社員専用のポータルサイトで配信し、何度でも反復して学習ができる環境を整えています。

――そのほかに工夫していることは?

「毎月参加したい!」と思ってもらえるように、わかりやすい伝え方を心がけています。例えば勉強会で使うスライドは、イラストをたくさん使って直感的に理解できる内容にしました。公式テキスト(作成:一般社団法人日本フードサービス協会)は文字が中心で、日本人の私が見ても頭に入りづらいので、魚の鮮度の見分け方や調理器具の扱い方などは実際のイメージを入れています。

また、口頭で説明する時は、日本語に自信がない人にも一回で伝わるように通常の0.8倍速を意識して話しています。

出典:オイシーズ株式会社

――参加者の反応はいかがですか?

皆さん、とても積極的に参加してくれています。シフトの休憩時間中にオンラインで参加してくれる人はもちろん、来日したばかりでまだ受験資格がない新人や、「特定技能の子たちには負けられない!」と意気込む永住権を持つスタッフまで、参加層も幅広い印象です。勉強会の最中に問題を出すと、オンライン参加組が我先にとコメント欄で回答してくれることもあり、その勢いに圧倒されています(笑)。

1年後の目標を描ける人が夢を手にする

――今後の展望や課題を教えてください。

まずは「もう一度参加したい」と思ってもらえるよう、引き続き“見て飽きない、聞いて飽きない”内容づくりを追求したいです。2号試験に合格した人の多くは、同じ問題を何度も解くことで漢字や語句を身に付けていました。この勉強会が、そうした「反復学習」の場になるよう工夫していきたいですね。

また、現在は参加者が10名程度にとどまっているので、より多くの人に参加してもらえるように社内での認知度を高めていきたいです。勉強会の内容を見た各事業部の代表からは「2号試験はこれほど難しいのか。私たちも現場からもっと声をかけていこう」と心強い言葉をもらっているので、今後は現場の力も借りながら広めていきたいと思っています。

――最後に、三谷さんから見て「2号人材になる」という夢をかなえる人の共通点を教えてください。

まずは、明確な目標を定め、1年後・3年後・5年後のロードマップを描けているか。2号を目指す理由は「日本で長く働きたい」「家族と暮らしたい」など人それぞれですが、身近に「あの人のようになりたい」と思えるロールモデルを見つけると、目標がより自分ごととして捉えられ、踏ん張りがきくようになります。

学習面については、やはり「漢字の読み書き」と「反復学習」を習慣化できている人の合格率が高いように感じます。当社初の2号合格者は、テキストの内容を何度もノートに書き写して、漢字や語句を覚えていました。一方で、テキストを目で追うだけ、あるいは動画を眺めるだけになってしまう人は、不合格になる確率が高い印象です。

自分の目標をしっかり見定め、そこに向かって努力を積み重ねていける人は、夢をかなえる力を持っていると思います。

※内容は取材当時(2026年3月)のものです。
※在籍者数などのデータは2026年1月時点のものです。

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