更新日2025年09月17日
新生水産株式会社で働くフィカさん

家族と日本で暮らすために大学のオンライン授業を受けながら特定技能2号にも挑戦

フィカ・スリスティヤニさん
(FIKA SULISTYANI)
1997年生まれ ジョグジャカルタ出身
宮城県の水産加工会社の技能実習生として初来日

テレビアニメを通して日本に興味を持ち、高校生の時から「いつか日本で働きたい」と思い始めたというフィカさん。通っていたインドネシアの高校では、日本の水産業界への従事を希望する生徒に向けた教育プログラムを受けることができた。

「水産業は体力も大事なので、ダンベルやプッシュアップバーなどを使って体を鍛えるトレーニングをしました。日本語の授業では、基本的な単語やひらがなの書き方などを教わりました。実務的な内容ではなかったけれど、来日後に受験した技能実習の評価試験や日本語能力試験(JLPT)にはとても役立ちました」

学校に求人が来ていた宮城県塩竈市にある水産加工会社のオンライン面接に合格したフィカさんは、技能実習生として2016年に初来日。サケ、サバ、マグロなど、さまざまな魚を丸ごと一本、包丁でさばいて決められたグラム数の切り身に加工する作業を担当した。

「当時はわからないこともたくさんあったけれど、とにかく日本人と日本語でお話しできることが嬉しくて、それだけで仕事の疲れも取れました。宮城県には方言もありましたが、外国人でも理解できるように簡単な日本語を使ってくれるので困ることはなかったですね」

フィカさんは「もっと日本語の能力を向上させたい」と会社から帰宅後に独学で勉強に励み、日本語能力試験(JLPT)のN5、N4、N3に合格。技能実習3号として、5年間日本で多くの経験を積んだ。

結婚・出産後、特定技能1号を取得して再来日

2021年にインドネシアに戻ったフィカさんは、日本にいた頃に知り合ったインドネシア人の男性と結婚。翌年に男児を出産した。子供が1歳になると「せっかく習得した日本語を忘れてしまわないように、日本語を生かせる仕事をしよう」と決心。送り出し機関の日本語教師の職に就いた。すると、「もう一度日本で働きたい」という思いが加速。今度はより長く日本で暮らすために必要な資格を得ようと、大学に入学して日本語教育を専攻。さらに特定技能1号も取得した。

「2度目の来日のきっかけは、登録支援機関から新生水産を紹介されたこと。ちょうど子供の授乳が終わった時期だったので、このタイミングしかないと。おそらく30~40代ではチャンスも少なくなるだろうから、20代のうちに行こうと思ったんです」

日本では子供の教育費など将来に備えた貯金もできる

2025年1月に入社した新生水産は、千葉県の船橋市地方卸売市場内に自社工場がある。工場は365日年中無休で稼働しているため勤務はシフト制で、休みは月に8日。フィカさんは市場から自転車で10分ほどの場所にある、会社が所有するアパートで生活している。勤務時間は8時~17時。マグロを中心とした加工品の製造業務に携わり、カットされた魚の成形や切り身のパック詰め、添加物を調合する作業などを担当している。

「前の会社での経験もあって、仕事の内容も体力的にも今の方が楽に感じています。また千葉県は東京に近いのがとてもいいですね。宮城県から東京までは新幹線で時間もお金も結構かかったけれど、今は電車で1,000円くらい。外食するのも遊びに行くのも便利なので、自由時間も楽しく過ごしています」

インドネシアにいる夫と息子とは、いずれは日本で一緒に暮らすことが目標。日本の永住権を取得するための勉強も継続して取り組んでいる。オンラインで授業を受けている大学は2026年12月に卒業予定。日本語能力試験(JLPT)のN2、特定技能2号も来年~再来年には合格したいと考えている。

「選択肢は多い方がいいと思うので、技人国と特定技能2号の両方を目指して頑張っています。インドネシアの給料で家族3人が生活するのに困りはしないけれど、将来に備えた貯金をすることは難しい。日本ではそれができるし、息子には日本の教育を受けさせたいと思っています」

これから日本に来るインドネシアの人たちにメッセージを。

「日本はとてもきれいで便利で、技術力が高くて、人が優しくて。インドネシアと比べてなんでもあるし、何にでもチャレンジできる。どんなに長くいてもがっかりすることがないくらい、本当に楽しい国です。そんな日本でよりよく生活できるように、来日前に日本語はもちろん、日本について幅広く勉強してくるといいと思います」

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