更新日2025年10月07日
人事担当者インタビュー 新生水産株式会社

外国人材に長く働き続けてもらえるように、仕事と生活の両面から支援体制を整えていきたい

新生水産株式会社 管理部
板橋侑美さん

マグロをメインとした水産物の販売、製造、輸入業を行なっている新生水産株式会社。千葉県船橋市内の本社、本工場、第二工場、沖縄工場に続いて、今秋には南船橋に新設された船橋湾岸工場も操業開始する。今後の事業拡大にともない、全社員の半数以上を占める外国人材に期待することなどについて、管理部の板橋侑美さんに伺った。

各種試験の合格者にはお祝い金を進呈

――外国人材の現在の採用状況は

全従業員60名のうち日本人の社員が20名弱なので、半分以上が外国人材になります。内訳は技人国の正社員が2名、特定技能1号が30名、技能実習生が10名ほどで、インドネシア人材は17名います。

2012年の創業当時は数名のアルバイトさんに働いてもらっていて、7年前から技能実習生の受け入れを始めました。その時に入社したベトナム人材の3名は、特定技能を取得して今も勤続してくれています。インドネシア人材は3年くらい前から採用しています。

――特定技能2号を志望する外国人材への対応は

日本語能力試験(JLPT)のN3以上を取得している人が、特定技能2号に挑戦できるという社内規定を設けています。今年の10月に1名、弊社から初めて受験する予定ですが、その他にも志望者は多数います。会社にとっても初めてのことですので、勉強会を開くなどの受験対策はまだできていませんが、中にはオンライン塾の授業を受けるなど自主的に取り組んでいる人もいます。

現時点で行なっている各種試験への支援としては、受験希望者に教材を配付することや、合格者には受験費用を負担すること、ボーナスにお祝い金を上乗せすることなどがあります。一度入社した方にはできるだけ長く働いてほしいと思っていますので、特定技能2号がどんどん増えていくように、会社としても今後しっかりとしたサポート体制を整えていくつもりです。

――面接時に重視している点は

技能実習生は、管理部長と工場長が現地に足を運び、当社でしっかりやっていけるかどうかを直接確認しています。特定技能の人たちはオンラインで面接を行い、すべての質問を日本語でして日本語で答えてもらうスタイルです。日常会話のやり取りができれば問題はなく、日本語のレベルが採用に影響することはありません。それよりも本人のやる気や人柄などを、よく見させていただいています。

外国人材の方々は皆さん製造部に所属して、工場内で働いていただきます。仮に日本語がまったくできない人でも、先輩たちに教えてもらいながら作業をこなすことは可能ですが、複数の外国籍の方がいますし、社内および工場内の共通語は日本語が使われています。

――外国人材が担当している業務内容は

工場は大晦日も元旦も休まず365日稼働していますので、勤務はシフト制になります。日によって製造する商品も違いますし、誰が休みの日でも業務が滞ることがないよう、技能実習生も特定技能人材も全員がいろいろな仕事ができるように覚えてもらっています。具体的には、大きなカッターで原料の魚をカットしたり、切り身を容器に盛り付けたり、商品を梱包したり、出荷の準備をしたり。水産業や加工製造業の経験・未経験は問わずに採用していますが、経験がある人は即戦力として包丁を使って魚をカットする仕事などをすぐに任されたりするので、非常にありがたいですね。

現在は外国人材の方たちに特に役職などは設定していませんが、将来的に会社の規模や社員数が拡大していけば、リーダー的な役割をお願いする人や、製造部以外の営業部や管理部などで活躍してもらう人が出てくることもあるでしょう。みんなが働きやすい環境を少しずつ作っていきたいと思っています。

アクセスも抜群で1人1室、新築の女子寮が完成

――インドネシア人材の評価は

皆さん、すごく仕事熱心ですよね。仕事に対して非常に前向きで、どんなことにも一生懸命取り組んでくれます。さらに、1日働いて疲れている中でも、日本語の勉強を頑張っている。そういう人が大勢いるので、本当に感心しています。

また、作業もとても丁寧。弊社のモットーに「一枚一枚手作業で綺麗な迫力ある切り落としの盛り付けを行う」という一節があるのですが、その言葉通りにどんな作業にも心を込めて、なおかつ無駄のない動きでキビキビと働いてくれています。本当にありがたいですし、皆さんを見ていると「私も頑張ろう」という気持ちになるんですよ。今は外国人材がいなければ工場の業務は成り立たないと言っていいほど、会社にとって重要な存在です。

――会社で行っている生活面のサポートは

住まいに関しては、外国人が自分で探すとなかなかいい部屋を借りられないという事情も考慮して、会社が借り上げたアパートに住んでもらっていました。そこは1室3人のルームシェアだったのですが、この度一人暮らし用に全18室を完備した女子寮を会社で新築しました。工場にも最寄駅にも近くてアクセスも抜群なんですよ。各室内には家電一式に布団や机などの生活必需品も用意しています。それ以外に、家族と同居するのでよそに借りたいという場合は、家賃の一部を会社で補助しています。あとは、市役所や銀行などで手続きが必要な時などには、日本人の社員がフォローするようにしています。

――外国人材からの要望や相談ごとなどについて

仕事上の悩みなどは聞いたことはないのですが、ベトナム人の社員から「このところ残業が少なくて……」と言われたことがあります。時給で働いてもらっているので、残業時間が短いとその分1ヵ月の給料も減ってしまいます。皆さん帰国後に家を建てたり、お店を開いたりするために貯金をしていたり、家族に仕送りもしていますから深刻な問題なんですよね。スーパーやレストランなどに商品を卸していると、お盆や年末年始、恵方巻きのシーズンなどイベントの時期によって忙しさが変わります。とはいえ、仕方ないで済ませることはできないので、その都度相談をしながら、なるべく希望に添えるようにしています。

――日本で働くことを希望している外国人材へのメッセージ

家族や友達と離れて外国で仕事をしていくのは本当に大変なことだと思いますが、皆さんの不安や心配を取り除けるように、会社としてできる限りの対応をさせていただきます。先輩たちもすごく優しくて温かい人ばかりなので、ぜひ安心して来てください。

弊社のセールスポイントの一つに、生活環境のよさがあります。東京近郊に工場があるので、ただ働くだけ、お金を稼ぐだけにならず、日本でしかできないさまざまな体験もしていただけます。東京ディズニーリゾートや富士山、京都などの有名な観光地に行き、楽しい思い出をたくさん作っている先輩も多いです。給料も地方と比べて高いと思いますし、ボーナスが出る会社は少ないようですが、弊社では年2回支給しているので、それは嬉しいポイントではないでしょうか。

その他の企業