ジャカルタオフィスで現地採用した人材を東京に異動させてスキルアップそれが人材紹介事業へと発展

インドネシアとの出会い
「インドネシアには若いデザイナーやプログラマーが溢れている」と聞き、2012年2月、初めてインドネシアのジャカルタやバンドンを視察。助言通りIT企業に勤める多くのデザイナーやエンジニアと出会うことができた。 帰国後Webデザイナーの求人を出すと偶然インドネシア人デザイナーが履歴書を送ってきたので即採用。バリ人だがイスラム教徒でとても優しく、理解力があり技術もどんどん身につけた。

インターンシップを通して学生たちと交流
2013年、ジャカルタにあるBINUS大学を訪問し日本語学科の授業を視察すると、学生たちが日本語だけで授業を受ける光景に遭遇。何か協力したいと教師に訴えると「インターンシップをやってほしい」と言われた。 インターンシップを希望する学生の中から2人を東京に呼び、Webデザインを学ぶインターンシップを始めた。だが2週間程度では単位は与えられない。 そこで2015年、ジャカルタに駐在員事務所を開設。現地で2カ月から6カ月間のインターンシッププログラムを実施。同時にジャカルタで求人を募集しWebデザイナーの現地採用を始める。 インターンシッププログラムに自主製作サイト「Japan View」の制作を取り入れ、Webデザインの技術を学ぶと同時に記事の翻訳なども行い、日本語を学ぶ機会も設ける。
インドネシアの若者の特徴
学生たちはみんな真面目で、日本のアニメやファッションなどのポップカルチャーが大好き。将来日本で働きたいと思っている人が多いが、それは子どものころからテレビやSNSで日本のアニメを見て育つから。ゲームも大好きで日本の作品が多く存在し、日本の歴史や文化をアニメやゲームなどから学び基礎的な単語力や語学力を身につける。 2016年以降はBINUS大学だけでなく、ダルマプルサダ大学、ナショナル大学、アル・アズハル大学などと順次インターンシップ契約を結ぶ。

インドネシアの若者たちを応援したい
現地採用したスタッフのうち4人は大空出版でインターンシップを受けた学生で、卒業後に入社。みんな明るく、日本人の同僚とお互いに冗談を言い合える仲間たち。宗教は違っても人間的に暖かく寛容な性格の持ち主たちだ。 インドネシアは8割がイスラム教徒と言われているが、ヒンズー教徒、キリスト教徒などさまざまな宗教が存在し、異教徒同士が結婚する例も少なくない。この寛容さはインドネシアが1万以上の島からなり立ち、異なった民族が交流してきた歴史を持っているからだろう。またオランダの植民地時代が長く続いたことも一因かもしれない。そのオランダからの独立を後押ししたのが戦後インドネシアにとどまった日本兵たちということもあり、親日の人たちが多く存在する。
新たな実験的取り組み
日本に憧れてくれている多くのインドネシア人がいることを知れば知るほど、彼らを応援したいという思いが強くなった。そこで2018年から現地採用したデザイナーたちを東京に呼び寄せ1年から3年、東京オフィスのスタッフたちと仕事をしてもらった。会社でアパートを借り、日本の生活に親しんでもらえるように環境を整えた。
インドネシアの人材が日本の生活環境や職場にどこまで馴染むことができるのか。それを確かめるために2020年3月までに3人のWebデザイナーをジャカルタから異動させたが、問題なく仕事をすることができた。また25年までにさらに3人のスタッフを異動させたが同じく問題はなかった。東京採用のインドネシア人スタッフも2人いるが登録支援機関の一員として活躍している。

新規事業のスタート
インドネシアの若者がスムーズに日本の環境に馴染むことができるという確証が得られたので2020年1月、登録支援機関の登録を完了。これによってインドネシア人材を採用する企業やその居住環境内のトラブルを防ぎ、安心して働くことができる環境作りのお手伝いができるようになった。 2023年10月、有料職業紹介事業許可証を取得し、さらにインドネシアの送出し機関(LPK)と契約を結び、インドネシア人材を日本企業へ紹介できる準備が整う。
