海の仕事と陸の仕事をそれぞれ経験。早朝からの業務に励みながら2号取得に向けて努力を重ねる

北海道での漁業経験を経て農業の道へ
海の近くで生まれ育ったリファンさんは、高校を卒業してすぐに日本語の勉強を始め、2017年から2020年までの3年間、技能実習生として北海道乙部町でイカ釣りの仕事に従事した。寒さが厳しい北海道での仕事は過酷で、冬場は水が凍結する前に作業を済ませるために、夜間作業を行うこともあった。
「北海道は方言が特徴的で、日本語に慣れていなかった当時は指示を聞き取るのが大変でした。雪も多く、仕事の内容もハードだったので、かなり苦労しましたね。それでも、日本で働いてお金を稼ぎたかったし、“時間をきっちり守る”“作業場を清潔に保つ”というような、日本人の仕事に対する考え方を学びたかったので頑張りました」

実習期間を終えてインドネシアに戻ったあとも、リファンさんは再び日本で働くことを希望した。海の仕事を経験したからこそ、次は山の仕事に挑戦したいという思いが芽生え、日本語と農業の勉強を開始。2022年には特定技能のビザを取得し、長野県富士見町に本社や工場を構える株式会社栄農人に入社した。
朝5時からブロッコリーの収穫作業を開始

リファンさんの主な仕事は、ブロッコリーの栽培や収穫といった畑での作業だ。外国人スタッフの送迎も担当し、朝4時30分には自宅を出て、スタッフの家を回りながら職場へ向かう。
野菜がぐんぐん育つ6月から8月は最も忙しい時期で、朝5時には収穫作業を始める。その後は土壌づくりや肥料の散布のほか、午後には収穫したブロッコリーを発泡スチロールの箱に梱包する出荷の準備も行う。
「夏場は日差しが強い中働きますし、たくさんブロッコリーが採れるので大変です。残業をすることもあり、1日に10時間くらい働いた日にはヘトヘトになります。また、雨が降っても仕事をしなければいけないので、カッパを着ていても服が濡れてしまうのがキツいですね。それ以外の日は基本的に楽しく働いていますし、実習生の頃と比べると仕事も暮らしも楽だと感じます」

リファンさんは免許を持っているので、トラクターの運転も可能だ。ロータリーという土を耕す機械を使い、畑の土壌をよくする作業を任されることもある。運転が好きで、作業の負担が比較的少ないため、この仕事を最も楽しんでいるという。
日本で長く働きたいので漢字を熱心に学ぶ
早朝から働くため、休日はゆっくり寝て英気を養うことが多いというリファンさん。一方で、特定技能2号の資格取得を目指し、勉強にも力を入れている。本やYouTubeの動画を活用し、文法や単語を繰り返し覚える日々だ。
特に難しいのが漢字で、一文字に複数の意味が込められているため、覚えるのが大変だという。何度も読み書きを繰り返して記憶に定着させ、少しずつ知識を身につけている。
そのような努力の原動力になっているのが、「インドネシアで自分の家や店を持つ」という夢だ。今後10年ほどは日本で働いて資金を貯め、趣味の釣りを生かして釣り具店を開くことを目指している。

「自分の夢を叶えるために、これからも日本で頑張りたいと思っています。畑の仕事も、もっともっと覚えていきたいです。私のようにこれから日本で働きたい人には、まずはしっかり日本語を勉強するようにと伝えたいです。また、日本人は時間に非常に厳しく、仕事に対しても真面目で責任感があります。そのため、日本の会社に入ったら、きちんと仕事に取り組むという気持ちを持ってほしいと思います」
