更新日2025年07月09日
スーパーサンゼンで働くチャヒャさん

スーパーの惣菜部門で念願の料理の仕事に挑戦。本場の味を日本向けにアレンジ

チャヒャ マウリディニ カリカさん
(CAHYA MAULIDINI KHALIKA)
2004年生まれ 西ジャワ・スカブミ市出身
思いがかなって来日、希望していた料理関連の仕事に就く

インドネシアの調理専門学校で学んだチャヒャさんは、18歳の時に技能実習生として来日。子どもの頃から『ドラえもん』などのアニメを通じて日本社会に興味を持っていたこともあり、日本で働くことを非常に楽しみにしていたという。

受け入れ先は、静岡県掛川市で「スーパーサンゼン」を運営する株式会社三善。チャヒャさんは、惣菜部門に配属された。

「料理が好きで仕事にしたいと願っていたので、スーパーサンゼンで働けることになってうれしかったです」

三善は2017年から継続的にインドネシアの技能実習生を受け入れており、一緒に働く実習生の先輩だけでなく、パートを含む従業員が熱心にサポートしてくれる企業文化がある。

「社員の方や先輩が親切に仕事を教えてくれたので、大きな苦労はありませんでした。日本で習った料理の中で、印象深いのは肉じゃが。インドネシアでも似たような料理があるので、馴染みやすかったです。私たちムスリムは牛肉を使いますが、肉のうまみがしっかり出たものを作れると、幸せな気分になります」

スーパーサンゼンは、他店では見られないようなこだわりの食材、地域密着の商品開発などに力を入れて、個性的なスーパーとして存在感を発揮している。そして人気のオリジナルメニューの一つが、チャヒャさんたちの作るナシゴレン(インドネシア風チャーハン)だ。

「せっかくなので本場の味をお客様に提供したいと思い、日本ではあまり知られていない調味料もしっかり使っています」

その一つが、キャンドルナッツ(インドネシア語でクミリ)という、炒って使用する調味料。日本ではほとんど流通していないので、海外から通販で購入したり、時にはインドネシアに出張中の社長にSNSで連絡を入れて、買い付けてもらったりするという。ただし本場の味にこだわりつつも、日本のスーパーの顧客が好む味付けにも気を配る。そんなチャヒャさんたちの思い入れが通じてか、ナシゴレンは売り切れ続出の好評ぶりだ。

大好きな日本で仕事を続けるため日本語に磨きをかける

チャヒャさんは、西ジャワのスカブミ市出身。滝や熱帯雨林など、風光明媚な観光地でもある。

「(スーパーサンゼン店舗やチャヒャさんたちのアパートがある)掛川市は、スカブミより人通りが少ない印象ですが、私は静かで落ち着いた街並みが好きなので、快適です」

近隣のお気に入りスポットは、大温室での鳥との触れ合いが呼び物の掛川花鳥園。

「鳥も花も好きなので。インドネシアも自然が豊かですが、それとは一味違った素敵な空間です」

また、休日は静岡県内で過ごすだけでなく、東京や名古屋、京都などにも足を延ばす。

「岡山にインドネシア人の友達がいるので、『じゃあ中間地点の京都で会おうね』と約束したりしています」

来日して、さらに日本好きになったチャヒャさんは、まだまだ日本でやりたいことがあるという。

「特定技能制度を利用するなどして、日本でさらに長く仕事ができたらうれしいです。一方で、大学や専門学校に通うことにも関心があるのですが、できれば日本の学校に行きたいです」

同じように日本に惹かれて働きに来るインドネシアの仲間や後輩に向けてのアドバイスを聞いてみた。

「日本語が上達すると、仕事もしやすくなりますし、日本の文化や生活を楽しめる度合いが違ってくるということを、つくづく感じます。そのために、本を読むだけでなく、会話の中でどんどん使うことをおすすめします。私も職場や休日の外出時、積極的に日本語を使って練習しています。知らない相手だと緊張することもありますが、日本人はインドネシア人と同じく優しい人が多いので、たとえば『すみません。もう少しゆっくり話してもらえますか』などとお願いすれば、ちゃんと気を遣ってくれるので、大丈夫ですよ」

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