入社1年目で利用者の自立支援を提案。後輩の育成にも携わりながら「介護のプロ」を目指す

ユスニタ・アル・アウィヤー・ユスフさん
(YUSNITA AL AWIYAH YUSUF)
1997年生まれ
スラウェシ島出身
グループホームでは利用者とのコミュニケーションが必須
認知症の高齢者を専門に生活サポートを行うグループホームのスマイル住まいる新横浜。この施設で働くのは、日本で介護の仕事を始めて6年目になるニタさんだ。
インドネシアの大学を卒業後に「人の役に立つ仕事がしたい」と介護職を志した彼女は、2020年に技能実習生として来日。香川県にある特別養護老人ホームで、要介護3以上の利用者に対して食事や入浴、排せつなどの介助を行なった。3年間働いていたが、地方ゆえの不便さを感じ、特定技能ビザ取得後に神奈川県にあるスマイルに転職した。
働き始めて苦労したのが、利用者との会話だ。大半が寝たきりの高齢者の特別養護老人ホームでは利用者とコミュニケーションを取る機会が少なかったが、グループホームでは利用者と話をする場面が多い。ニタさんの場合は、相手が話している内容は理解できたが、自分の言葉が伝わっているのか不安を感じていた。
今では利用者との会話はもちろん、電話対応もそつなくこなすが「日本語はまだまだ勉強中です」と言う。休みの日には日本語教室に通い、日々勉強している。

インドネシア出身の後輩を公私ともにサポート
ある時ニタさんは、利用者の自立を考え「この方は自力で排せつができるのでオムツを外しませんか」と提案した。その考えはスタッフたちにも共感された。
認知症の高齢者の多くは、自分でできることでもあえてスタッフに頼ってしまうことが多い。そのため、一人ひとりの性格や生活状況を観察しながら、どのレベルならサポートなしで生活できるのか見極めなければならない。彼女は入社1年目で自立支援の重要性を理解し、利用者と向き合い業務に励んでいた。
さらに2023年からは、同じインドネシア人の後輩であるルル・ヌル・ファディラーさん(以下、ルルさん)の育成にも携わっている。ルルさんには業務や日本語を教えるだけでなく、プライベートでも彼女を気にかけ、洗濯や家事のアドバイスをすることもある。
「ニタさんがいろいろなことを教えてくれるおかげで安心して働けます」と話すルルさんにも、今年からインドネシア人の後輩ができる。ニタさんが自分にしてくれたように、さまざまな面で後輩をサポートできる先輩をルルさんも目指す。

季節ごとのイベントを楽しめるのが日本の魅力
ニタさんの休日の楽しみは、同じ施設で働くインドネシアの同僚と遊びに出かけることだ。ハラル対応のお店が検索できるアプリやInstagramなどでムスリムフレンドリーなお店を見つけると食事に行くことも多いという。ある時はハラル対応のたこ焼きを食べに、大阪まで出かけたこともあったそうだ。
彼女の夢は、介護福祉士の資格を取って介護のプロになること。会社からのサポートだけでなく、オンラインの勉強会に参加して自力で勉強するなど、目標に向かってひたむきに努力を重ねている。
最後に、日本で働きたいと考えている同郷の人たちにこんなメッセージを贈ってくれた。
「日本は季節ごとにイベントがあり、春はお花見、秋は紅葉狩りなど、楽しいこともたくさんあります。ただし、日本の夏は想像より暑くて大変です。冬もすごく寒いのですが、日本人はそんな中でもスカートを履いているのでとても驚きますよ。ほかにもギャップを感じることがあると思いますが、まずは日本の言葉とルールをちゃんと勉強して、働く準備を整えておくといいでしょう」
