日本の製鉄技術が生んだ、美しい日本刀
2023.04.05 up

日本の製鉄技術が生んだ、美しい日本刀

日本で誕生した武器、『日本刀』。
日本独自の方法で作られた日本刀は外国でも大人気!
映画や漫画、アニメで日本刀を持って戦うキャラクターも多くいます。

ところで、そんなかっこいい日本刀の原料は何だか知っていますか?
鉄・・・なんですが、ただの鉄ではありません。
それを知るための展示が『刀剣博物館』で行われていました。

刀剣博物館

現在、刀剣博物館では、企画展『鐵の源流 たたら製鉄と日本刀展』が開催中です。
日本刀つくりの原点となるたたら製鉄とは、どのようなものなのでしょうか?

企画展入り口(撮影許可:刀剣博物館)

刀剣博物館の成り立ち

刀剣博物館は、日本でも数少ない「日本刀」を専門とした博物館です。
第二次世界大戦に負けた日本では、多くの日本刀が駐留軍に没収されていました。壊滅の危機にあった日本刀文化を守るために、1948年に「日本美術刀剣保存協会」が設立しました。
刀剣博物館は、この協会の付属施設として1968年に開館しました。

貴重な刀剣が数多く所蔵されており、日本刀文化の普及と発展に貢献しています。

日本刀作りの原点 『たたら製鉄』

現在、刀剣博物館で行われている『鐵の源流 たたら製鉄と日本刀展』。

「たたら製鉄」とは、古くから日本で発達した独自の製鉄方法であり、じつに千年以上の歴史を持っています。
粘土で作った炉の中に、砂鉄と木炭を交互に入れて熱することで、純度の高い鉄を作り出すことができ、この際に使用される特殊な鞴を「たたら」と言います。

日本刀は、たたら製鉄によって生み出された高品質な鉄を原料にして作られているのです。
日本刀の原料となる鉄は「玉鋼(たまはがね)」と言います。

たたら製鉄で作り出された「玉鋼」(撮影許可:刀剣博物館)
企画展の会場の様子。たたら製鉄の歴史や製鉄に使用される道具などが展示されています。(撮影許可:刀剣博物館)

現代に生きるたたら製鉄

長い歴史を持つたたら製鉄ですが、明治以降になると、海外から安価な鋼材や西洋式の製鉄技術が入ってきたため、たたら製鉄は急激に衰退してしまいました。
しかし、たたら製鉄は完全になくなったわけではありません。

島根県の奥出雲には、日本で唯一現存しているたたら製鉄『日刀保たたら』があります。
ここは、日本美術刀剣保存協会が直接運営しており、今でも日本刀の原料・玉鋼を生産しています。

島根県にある『日刀保たたら』。炉の中で玉鋼を製作している。(提供:日刀保たたら(公益財団法人日本美術刀剣保存協会))
炉を壊して、玉鋼を取り出している。(提供:日刀保たたら(公益財団法人日本美術刀剣保存協会))

今回の企画展には、日刀保たたらから提供された資料や道具が数多く展示されています。

(提供:日刀保たたら(公益財団法人日本美術刀剣保存協会))

たたら製鉄は、日本の物づくり文化の源流として、現代にも引き継がれているのです。
公益財団法人日本美術刀剣保存協会:たたら事業

企画展には日本刀も展示

今回の企画展には、たたら製鉄に使用される道具だけでなく、刀剣博物館や個人が所蔵している日本刀も展示されています。中には、伊勢神宮の宝物も展示されており、ここでしか観ることのできない貴重な刀が揃っています。

展示されている刀剣の一部(撮影許可:刀剣博物館)

1階にも魅力あるコーナーが!

博物館の1階には、常設の情報コーナーがあります。
ここでは、日本刀ができるまでの過程や、日本刀に付いている装飾品の数々を間近でみることができます。

実際に、日本刀の重さを体験できるコーナーもあります!

みんなに知ってほしい、日本刀の魅力

刀剣博物館の企画展『鐵の源流 たたら製鉄と日本刀展』。
美しい日本刀には、「たたら製鉄」という日本独自の技術が活かされていることがわかりました。

最後に、刀剣博物館より皆様へコメントもいただきました。

「日本刀はかつて武器であったものが千年を超えて大切に保管され、今なお現代の刀鍛冶によって作られ、後世に受け継がれている美術工芸品です。江戸文化、歴史のある両国エリアの観光と合わせて、是非刀剣の観賞へお越しください」

企画展は5月21日まで開催中。
日本刀の魅力を、存分に味わってみませんか?

概要
名称:『鐵の源流 たたら製鉄と日本刀展』
開催期間:2023年3月4日~5月21日
会場:刀剣博物館
所在地:東京都墨田区横綱1-12-9
入場料:大人:1000円(会員・団体は700円)/高校・大学・専門学校生:500円
    中学生以下:無料
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日 ※月曜日が祝日の場合、翌日休館
公式サイト:刀剣博物館