雨を愉しむ日本人
日本には「四季」と呼ばれる季節の分類があり、年間を通して気候が大きく変化します。季節ごとに景観や、旬の食べ物などが異なるため、日本人は昔から四季のうつろいを楽しんできました。
6月は雨が多い「梅雨」とよばれる期間です。この時期は毎日のように雨が降り続き、じめじめする季節ではありますが、日本人は昔から梅雨ならではの楽しみを見つけてきました。今回は、日本人と雨の関わりについてご紹介します。
梅雨を彩る花、あじさい
日本の梅雨の花といえば、あじさいです。赤や青、紫の花々は、雨に濡れた街並みに彩りを加え、見る人の目を楽しませてくれます。
神奈川県鎌倉市にある妙月院は、別名「あじさい寺」と呼ばれるほどの観光の名所です。境内には約2500株の姫あじさいが植えられており、見ごろの時期を迎えると「妙月院ブルー」と呼ばれる青色の花が咲き、あたり一面に幻想的な青の世界が広がります。
数百通りもある雨の異名
日本人にとって雨はとても身近なもの。降る時期や降り方などによって、その呼び方は数百種類に及ぶともいわれており、それぞれ日本語ならではの美しい響きがあります。
◆五月雨(さみだれ)
5月下旬から7月上旬にかけて降る、長雨のこと。
◆夕立(ゆうだち)
夏の午後、時に雷を伴って降る激しい雨のこと。近年では災害に発展するほどの大雨が降ることもあり、「ゲリラ豪雨」とも呼ばれます。
◆時雨(しぐれ)
秋から冬にかけて起こる、一時的に降ったりやんだりする雨のこと。
◆狐の嫁入り(きついねのよめいり)
空が晴れているのに降る雨のこと。昔の人が狐に化かされていると錯覚したことから、この名で呼ばれるようになりました。
傘の花咲く日本の梅雨
日本は年間の傘の消費量が1億2000~3000万本ともいわれる“傘大国”です。特に、長雨が続く梅雨は傘が手放せません。強い風雨でも折れない高機能な傘、鮮やかな色・デザインの傘、カバンにしまえるコンパクトな折り畳み傘、雨ではなく日差しを防ぐ日傘、コンビニなどで買えて使いやすいビニール傘など、日本ではさまざまな種類の傘が手軽に手に入ります。さらに、数百年前から職人が作ってきた伝統的な和傘などもあります。
日本へ訪れることがあれば、自分好みの傘を探してみてはいかがでしょうか?
また、神奈川県立歴史博物館では傘職人の道具を展示しています。
こちらもぜひチェックしてみてください。