2021.12.01 up

体の芯から温まる団らんのごちそう・鍋料理

写真AC

寒さ厳しい日本の冬に、特に人気のごちそうが鍋料理です。地域ごと、家庭ごとで様々なバリエーションがありますが、基本的には卓上に用意した鍋(主に陶器製の土鍋)で調理を進めながら、各人が取り皿(呑水と呼ばれる)に取り分けて食べるという料理です。寒い日に家族で鍋を囲む姿は日本の冬の風物詩となっています。そんな鍋料理のバリエーションをご紹介します。

味付きのスープで作る鍋料理

きりたんぽ鍋(写真AC)

鍋料理には、大きく分けて煮汁に味付けを施すものと、後からタレなどをつけて食べるものがあります。醤油や味噌で味をつけた鍋料理には魚介や野菜、肉類など様々なジャンルの食材をまとめて入れる「寄せ鍋」や相撲部屋発祥と言われる、栄養・ボリュームたっぷりの「ちゃんこ鍋」があります。変わり種としては、洋風の「カレー鍋」「チーズ鍋」や辛味を効かせた「キムチ鍋」も人気です。他にも「きりたんぽ鍋」(秋田)や「石狩鍋」(北海道)など郷土の伝統食材を豊富に使ったご当地鍋も各地に存在します。また、海外でも人気の日本料理である「すき焼き」もこちらに分類されます。

後から味をつけて食べる鍋料理

湯豆腐(写真AC)

水または薄味のスープで食材を煮込む鍋料理で代表的なものは「湯豆腐」や「水炊き」、「しゃぶしゃぶ」などです。湯豆腐はその名の通り、豆腐を昆布だしなどでゆで、ポン酢などで食べる料理です。豆腐以外の食材は薬味程度しか用いず、淡い味わいを楽しみます。水炊きは主に関西で食べられ、地域によって大きく調理法が異なります。特に有名な博多の水炊きは骨付きの鶏肉を水から煮立たせ、うま味の凝縮された鶏の出汁でキャベツや豆腐などを一緒に煮るものです。しゃぶしゃぶは昆布だしに牛肉などをくぐらせ、ポン酢やゴマダレなどで食べる料理。肉を湯にくぐらせるときの音の響きからこの名がついたとされています。

忘れちゃいけない鍋の「締め」

雑炊(写真AC)

鍋料理の具材を食べ終わった後には、様々な具材の旨味が凝縮されたスープが残ります。このスープに調味料を加え、味を調えて作る締めの逸品も鍋料理には欠かせません。ご飯と卵を加えて「雑炊」にする場合や、うどんやラーメンを煮込む場合が多いです。また、湯豆腐やしゃぶしゃぶなど具材が少ない場合は蕎麦などあっさりした締めも好まれます。具材と締めで二度楽しめるのも鍋料理の大きな魅力です。

鍋料理には寒い日に体を芯から温める他に、家族や友人と一つの鍋を囲んで楽しむパーティーメニュー的な側面もあります。例えば、各自が様々な食材を持ち寄り、暗闇の中で調理することで何が入っているかわからないスリルを楽しむ「闇鍋」という度胸試しのようなイベントもその一つです。(時には果物やケーキなどが入れられることも!?) また、日本気象協会がその日の寒さや空気の乾燥具合などから”どんな鍋が食べたくなるか”を提案する「鍋もの指数」というデータを公表しているなど、多くの日本人にとって鍋料理は身近で親しみ深い食事です。冬の日本を旅行する際には、その土地ならではの鍋料理を味わってみることがオススメです。

鍋もの指数(日本気象協会 tenki.jp) https://tenki.jp/indexes/hot_pot/