若者に人気上昇中!? 平成レトロカルチャー
「Z世代」と呼ばれる、1990年代中盤~2000年代生まれの日本の若者たちの中で、平成カルチャーが一躍ブームになっています。約30年の平成の間にインターネットは急速に発展し、パソコン・携帯電話が一般に広く普及しました。文化・情報の世代交代が早い分、つい2年半前まで現役だった平成(※)もすぐにレトロの仲間入りをしたようです。特に、平成初期に流行した事物は、Z世代にとって体験したことがない新鮮な文化として注目されています。
※平成・・・日本で制定・使用されている紀年法で1989年1月8日~2019年4月30日の期間を指す
不完全さが逆に新鮮
特に人気の平成レトロアイテムは「レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)」です。デジカメやスマホのカメラは撮ってすぐに確認でき、何十枚も連射して最高の一枚を選べ、加工だって自由自在です。一方、レンズ付きフィルムは二十数枚ほどしか撮影できず、どんな写真が撮れたかはフィルムを使い切って現像するまでわかりません。仕上がりも粗くなりがちです。しかし、柔らかい雰囲気の写真が撮れることや、複雑な機能がない分撮りたい瞬間にシームレスに撮影を始められることが人気を集めているようです。
普段聞く音楽も個性的に演出
最近では音楽はサブスクリプションサービスやダウンロード購入で聞くのが一般的です。その一方、ファッションとして「カセットテープやレコードで音楽を聴く」という文化が今の若者たちの中にできてきているとか。スマホで再生してワイヤレスイヤホンで聞く、ではなく、自宅にプレーヤーを置き、自分だけの鑑賞空間をつくって耳だけでなく五感で音楽を味わうのです。カセットテープやレコードのコレクションとしての価値もファンにはたまらなく魅力的で、そういった若者をターゲットにした、「CDは出さないけどカセットテープ/レコードで新譜を出す」というアーティストも増えてきています。
クラシカルな新鮮さに出会う
気軽に利用できるコーヒーチェーンではなく、クラシックな雰囲気の喫茶店も若者たちに人気のようです。手作りで固い食感のプリンや鮮烈な色合いのクリームソーダなど定番のメニューやどこかノスタルジーを感じさせる店構えが、エモい空間を演出していると注目されています。
ここで紹介した以外にも、リラックスできるチルい(※※)場所としての銭湯や肩パッド入りの上着、ルーズソックスなどを取り入れたファッションもトレンド入りしています。親世代がかつて経験した文化で話に聞いたことがあるという親近感や、アナログな操作性からくる不完全さが、なんでもスマートなシステムで解決してきたデジタルネイティブたるZ世代の心を魅了しているのです。
※※「チルい」・・・ヒップホップ用語のChill out から生まれた若者言葉。ゆったり、まったり、落ち着くなどの意味を含んでいる。