公開日2026年02月27日
日本語学校インタビュー ARC東京日本語学校

自分で考えて発信する力を養う「活動型」授業で“生の日本語”を指導

法人本部 広報部
阿部梨奈さん

1986年の創立以来、40年にわたって留学生に日本語を指導している「ARC東京日本語学校」。ここでは単に知識を詰め込むのではなく、“日本語で考え、自分の言葉で伝える力”を大切にした授業が行われています。

今回は広報部の阿部梨奈さんに、日本語でのコミュニケーション力を高める授業の秘密や、外国人が苦労しがちな漢字を克服するコツを教えていただきました。

議論やインタビューを通じて“リアルな日本語”を学ぶ

――学校の特徴を教えてください

ARCが大切にしているのは、卒業後からすぐに使える“リアルな日本語コミュニケーション力”です。そのため、ただ席に座ってノートを取るだけではなく、日本語で旅行の計画を立てたり、日本語のみで学生同士が意見交換をしたりといった、学んだ知識を自分の言葉で発信する「活動型」の授業を取り入れています。

また、中国やベトナム、イタリアなどを中心に、約50ヵ国から学生が集まっているのも特徴です。インドネシアからも、これまでに140名ほどが入学してくれました。これだけ多国籍だと文化もそれぞれなので、校内に礼拝室を用意するなど、どんな学生も安心して過ごせるよう設備を整えています。

――どんなコースがあるのでしょうか

留学生向けの長期コース「一般留学コース」と、日本在住者向けの短期コース「集中日本語コース」があります。どちらも入学時のテストで全8段階から自分にぴったりのクラスが決まるので、自分のレベルに合わせてスタートできます。

授業は1学期3ヵ月のサイクルで進むので、順調にいけば1年で4段階上のレベルまでステップアップできます。最初はN5レベルでも、1年後にはJLPT(日本語能力試験)のN3レベルまで手が届きますよ。

引用:ARC東京日本語学校ホームページ「一般留学コース」

――授業の特徴は

先ほど紹介した「活動型」の授業ですね。先生の説明を一方的に聞くのではなく、先生から出された課題(タスク)に対して生徒が自分の意見やアイディアを日本語で伝えていく授業を、入門レベル(第1期)から取り入れています。

例えば、日常生活によくある場面を演じる「ロールプレイ」では、休日のお出かけに誘う人と誘われる人に分かれて練習するので、リアルなやり取りを体験できます。ほかにも、生徒が職員に取材をする「インタビュー」や、一つのテーマについて議論する「ディスカッション」、自分たちで調べたことをポスターやスライドにまとめて発表する「プレゼンテーション」など、自分の言葉で発信する機会を設けています。

画像提供:ARC東京日本語学校

――人気の授業はありますか

中級クラス(第5期)から始まる「選択授業」が、自分の興味や進路に合わせて選べるので大人気です。各学期、1週間に3つの授業を選べ、時期によって人気がガラッと変わるのが面白いところですね。

例えば、受験や就活のシーズンなら、EJU(日本留学試験)対策や就職活動対策の授業に皆全力を注ぎます。逆に、試験が終わってホッと一息つく時期になると、マンガやアニメ、日本文化などのカルチャー系が一気に人気になるんです。最近では、日本の大学生の落語研究会を講師に招き、生で落語を披露してもらう授業もありました。

画像提供:ARC東京日本語学校

――授業以外でも、日本文化を学べる機会があるのだとか

日本文化を体験できる学校行事を設けています。1月は餅つき大会、7月には神楽坂の阿波踊り祭に出演するなど、季節に応じた体験ができるように企画しています。今年の11月には、ARCの創立40周年を記念した文化祭も行う予定です。

画像提供:ARC東京日本語学校

就職につながるアルバイト先の紹介も

――日本で働きたい学生へのサポートは

最近は就職を希望する学生が2割ほどに増えてきたこともあり、サポートにはかなり力を入れています。東京校にはキャリアコンサルタントの資格を持った職員が常駐していて、就活の計画立てから面接の練習、さらには採用後のビザの変更手続きまでをバックアップします。

日本の就活はルールが独特なうえ、スケジュールが年々早まっていて「いつからどうやって始めればいいの?」と不安に思う学生も多いんです。だからこそ、まずは日本の就活文化を教えるところから始めて、履歴書の書き方をマンツーマンで指導したり、時にはスタッフが会社説明会に同行したりもします。校内で採用試験や面接会を開くこともありますね。

さらに、最近ニーズが高い特定技能「外食」の対策講座も始めました。この講座では、衛生管理や調理・接客といった事柄を6ヵ月かけて学びます。また、私たちは無料職業紹介の許可を受けているので、在学中にアルバイトを紹介して経験を積んでもらい、特定技能の資格を取ったらそのまま正社員として就職するというサポートも行なっています。

引用:ARC東京日本語学校ホームページ「特定技能〔外食業〕対策講座」

――普段の生活についても相談できますか

校内には就職支援室のほかに、生活全般の悩みをいつでも受け付ける事務局の窓口を用意しています。事務局には英語、中国語、ベトナム語、韓国語を話せるスタッフが常駐していて、病院に付き添ったり、役所への電話を通訳したりすることもあります。

また、3ヵ月に一度はクラス担任の先生が個別カウンセリングを行います。勉強の進み具合はもちろん、進路や生活の悩みもヒアリングし、就職のことなら支援室へ、生活のことなら事務スタッフへと、すぐに連携して解決へと動く体制を作っています。

漢字の勉強では「読みながら書く」がポイント

――外国人の多くは、漢字の勉強で苦労することが多いですよね

そうですね。特にインドネシアは漢字を使わない国ということもあり、漢字の読み書きに苦労する人が多いようです。ジャカルタ出身の学生も、「日本語の中でも漢字は特に難しい!」と話していました。

――お勧めの勉強法はありますか

当校の教員が勧めているのが、「読み仮名を声に出しながら書く」という方法です。例えば、「頭」という漢字を練習するときには、1回目は「あたま」と口に出しながら書き、2回目は「かしら」、3回目は「ず」……と書いていくイメージですね。

ただ黙々と手を動かすのは、どうしても単純作業になりがちです。しかし、実際に声に出すことで、書く力だけでなく、話す力、自分の声を聞く力、そして読む力の4つを同時に効率よく鍛えられます。

――日本での就職や進学を目指す皆さんにアドバイスを

日本に来る前に、まずは「日本のここが好き!」というポイントをひとつ見つけてみてください。アニメやマンガ、食べ物など、何でも構いません。

好きなことをベースに勉強すれば、上達のスピードは驚くほど早まります。実際、当校の学生にも、日本語で演劇の台本を書いたりお笑い芸人のネタを研究して自分で漫才をやったりして、 “生の日本語”を習得した人がいます。「好き」がたくさんあるほど、日本に来てからの毎日が楽しくなるはずです。

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