東カリマンタン州バリクパパン出身のチェリンさんと、バリ島出身のマデさんは、文化外国語専門学校で日本語を学ぶ留学生です。チェリンさんは2025年4月から日本語科に通っています。マデさんは日本語通訳ビジネス科に在籍しており、今年で2年目。以前はチェリンさんと同じ日本語科で学んでいました。
本インタビューでは、お二人に留学のきっかけや日本での学生生活、そして将来の目標について語っていただきました。
――自己紹介をお願いします
チェリンさん
東カリマンタン州バリクパパン出身のチェリンです。2025年4月から、文化外国語専門学校の日本語科に通っています。
マデさん
バリ島出身のマデです。日本語通訳ビジネス科に在籍し、今年で2年目になります。このコースに進む前は、チェリンさんと同じ日本語科に通っていました。
――日本に留学した理由は

マデさん
私は日本の映画が好きで、映画を通して日本の生活に憧れるようになりました。実際に映画のロケ地にも行ったことがあります。また、私は電車が好きなのですが、バリには電車がありません。初めて日本の電車に乗った時から、日本の交通システムが大好きになりました。高校の頃から日本語を勉強していたので、そのスキルをもっと伸ばしたいという思いもあり、日本への留学を決めました。
チェリンさん
子どもの頃から日本文化に興味がありました。西ジャワ・タンゲランのマルチメディアヌサンタラ大学(UMN)でグラフィックデザインを専攻していましたが、その時に多くの先生方から「日本のデザインはとてもすばらしい」と勧められたんです。デザイン分野で学びを深めるなら、革新的なデザインで有名な日本はとても適した環境だと感じて留学しました。
――学校生活について教えてください

チェリンさん
私はこの学校の雰囲気がとても楽しいと感じています。クラスメイトも多様で、はじめは同年代の学生ばかりだと思っていたのですが、実際は年齢層も幅広く、社会人経験のある人もいました。いろいろな年代の人と話せるのは面白くて、新しい視点をもらえることも多いです。
また、世界中から学生が来ているのでお互いの母語を教え合うなど、国際的な交流が自然にできるところがとても楽しいです。
マデさん
文化外国語専門学校は本当にインターナショナルな学校です。いろいろな国から来た学生と一緒に学ぶことで、日本語だけでなく、ほかの国の文化についても知ることができます。
文化祭などのイベントもあり、私は演劇に出演したこともありました。授業以外にもさまざまな体験ができて、本当に思い出に残る学校生活を送ることができています。
――日本語の勉強で大変だったことは

チェリンさん
日本語の勉強を始めたのがわずか1年前だったので、入学したての頃はほとんど初心者レベルでした。はじめは日本人の話すスピードが速すぎて、何を言っているのか全然わからず、買い物に行くだけでも何を言えばいいのか困ることが多くありました。
授業に関しては、自分のレベルに合ったクラスに入れたので、内容が難しすぎず簡単すぎず、ちょうどいいと感じています。
マデさん
やはり、スピーキングが一番難しかったです。インドネシアにいた頃は日本語を話せる相手がほとんどいなかったので読み書きを中心に勉強していましたが、日本に来てからは実際に話す機会が多くてすごく戸惑いました。日本では英語もあまり通じないこともあり、最初のうちは少し大変でしたね。
――日本での生活について教えてください
チェリンさん
私は今、代々木五代儀にある学生寮に住んでいます。最初は言葉の壁があったので少し大変でしたが、インドネシアの大学時代から一人暮らしをしていたので生活面での不便はなかったです。むしろ、日本の生活はインドネシアよりも快適で便利だと感じています。
マデさん
日本語科に通っていた時は杉並区の学生寮に1年間住んでいましたが、その後は自分で中野のアパートを借りて一人暮らしをしています。週末にはクラスメイトと遊びに行くなど、毎日みんなと仲良く過ごせています。
――日本に来て驚いたことは

マデさん
本の値段が思ったよりも安くて驚きました。Book Offのような古本屋さんがたくさんあり、とても便利です。日本に来てからは読書の習慣がついて、特に心理学や人間関係についての本をよく読むようになりました。
また、交通の便がよいのも助かっています。バリでは基本的にバイクや車しか使わないのですが、日本は電車やバスといった公共交通機関を使えばいろんなところに行けるので、自然と歩く機会が増えました。多い時は1日1万歩以上歩くこともあります。
チェリンさん
4月に日本に来た時、飛行機チケットの値段が普段より高くて驚きました。日本に着いてからわかったのですが、この時期は桜が咲く季節だったのです。初めて桜を見た時は本当にきれいで感動しました。春は気候も気持ちよくて、特別な雰囲気がありますね。初夏の北海道にも行ったことがありますが、私にとっては春の方がずっと魅力的でした。
――卒業後の夢は

チェリンさん
卒業後は文化学園大学の大学院に進学したいと思っています。プログラムはすべて日本語なので、今は進学に向けて準備をしています。その後は日本で1~2年働いて経験を積み、最終的にはインドネシアで自分のデザインエージェンシーを立ち上げるのが夢です。
マデさん
日本の生活環境が自分に合うと感じているので、10年、20年と長く日本に住みたいと思っています。将来は日本の企業で翻訳や出版に関わる仕事をして、これまで学んできた日本語のスキルを生かしながらキャリアを築いていきたいです。
――日本で学びたいと考えるインドネシアの若者へメッセージを
マデさん
できれば日本に来る前に、日本語の基礎を勉強しておいた方がいいと思います。時間がなくて勉強できなかったとしてもなんとかなりますが、言葉の壁を超えるのはやはり大きなチャレンジですし、生活がかなり大変に感じることもあります。
とはいえ、実際にやってみないとわからないことも多いので、まずは思い切って日本に飛び込んでみることが大切です。今はたくさんの奨学金プログラムがあるので、費用面で不安があってもチャンスはあります。私自身も文部科学省の奨学金で日本に来ました。
奨学金の情報だけでなく、日本の文化や習慣、生活スタイルなどを最初に調べて理解しておけば、来日後のカルチャーショックも少なくなるでしょう。
一番大事なのは、柔軟な気持ちを持つことです。日本へのイメージや理想を持ちすぎると、現実とのギャップに驚くかもしれません。だからこそ、広い視野と柔軟な心構えで準備してください。


チェリンさん
日本に来る前に、ひらがなとカタカナだけでも覚えておくことです。まったく日本語がわからない状態で来ると、最初は本当に大変だと思います。少しでも基礎を覚えておけば、自信を持って生活を始められるし、その後もどんどん成長できます。
それから、とにかく自信を持って人と関わることが大事です。日本語がまだ上手に話せなくても、恥ずかしがらずに積極的に挑戦してください。間違えても大丈夫です。話さないと上達しませんし、せっかく日本に来たのだから、そのチャンスを最大限に生かしてほしいです。