更新日2025年07月02日
日本語学校インタビュー 文化外国語専門学校

ファッションや文化を通じてさまざまな考え方を持つ人たちと交流しながら日本語を学ぶ

西村学さん
副校長兼教務部長
文化外国語専門学校

文化外国語専門学校は、日本有数のファッション教育機関が集まる文化学園内にある日本語学校です。東京の中心地・新宿に位置するこの学校では、日本語の習得だけでなく、多様な言語の学生たちとの交流や、学園内で開催されるファッションイベントを通じて、学生が自信を持ち、グローバルな挑戦ができる人材に成長するための環境づくりを行なっています。

今回は文化外国語専門学校の副校長兼教務部長である西村学さんに話を伺いました。

多様な文化を学べる刺激的な環境

――この学校の特徴を教えてください

文化学園ならではの、創造的で刺激に満ちたキャンパスの雰囲気が最大の特徴です。敷地内には本校を含めて4つの学校があり、それぞれの学生同士が交流したり、各学校で行われるファッションショーなどのイベントに参加したりできます。

文化外国語専門学校以外の学校はファッション分野に特化しているので、生徒たちの服装も個性的です。服飾関係に興味がある方や、自分らしさを表現するのが好きな方にとっては、ワクワクできる環境だと思います。

また、毎年20以上の国と地域から学生が集まることも特徴です。さまざまな言語圏の方が通っているので、お互いの共通言語は自然と日本語になります。授業で学んだことを隣の人との会話ですぐに実践できるため、日常会話を通じて言語力を伸ばしていけるでしょう。

多様な文化を持つ学生たちが多い分、教師陣も学生たちの考え方や価値観を大切にしています。授業でも一人ひとりの個性を尊重しながら、誰にでもわかりやすい内容になるよう工夫しています。

――コースや授業の詳細を教えてください

日本の大学や専門学校への入学を目指す日本語科のほか、高度な日本語力を身につけて通訳や翻訳の仕事を目指す日本語通訳ビジネス科、日本語学校での教師を目指す日本語教師養成科といった上級プログラムを用意しています。

日本語科の授業は平日の9時10分から14時50分まで行います。1日5コマで時間割を構成し、各授業時間は50分です。メインテキストを使った文法や言葉の学習を中心に、「聞く・読む・書く・話す」の4技能を育てます。

1987年からオリジナルの教材を使用しています。それ以前は教科書の選択肢が少なかったので、自分たちが教えたいことや学生にとって役立つことを独自に調査し、わかりやすい教科書を作りました。今もその時々のニーズに合わせて内容をアップデートしています。

そのほか、スピーチやプレゼンテーションといった、知識として学んだ日本語を実際に使う授業も取り入れています。

――学校行事はどんなものがありますか

東京ディズニーランドへの遠足、バスハイク、文化体験、学園祭などのイベントを用意しています。また、渋谷区の消防署と連携して、4校一斉での防災訓練を年に一度行なっています。

文化学園ならではの取り組みとしては、指定された色の服やアクセサリーを身に着けて登校する「ドレスコードデー」を毎年行なっています。

――そのほかのサポートについて教えてください

担任制度を導入し、学生一人ひとりの様子を見ながらきめ細やかな対応をしています。英語や中国語に対応できるスタッフもいるので、入学したばかりで日本語があまり話せない人も安心して相談できます。

また、学生寮には寮長や寮母が常駐しているので、困りごとがあればいつでも相談に乗ってくれます。

学校の施設という点では、学園内の図書館や学生食堂、大ホール、医務室などを利用できます。日本語学校という立ち位置でありながら、日本の大学が備えている施設を最大限に活用できるのは、本校ならではの特徴だと思います。

――卒業後の進路は

私費で学んでいる留学生のうち、約60〜70%がグループ内の学校へ進学しています。

学生の中には、ファッションなどの専門分野を学ぶために日本に来たいと考えていたものの、日本語が不十分であることから日本語学校を選んだ人も少なくありません。そういった人たちは、本校でしっかりと日本語能力を身につけてから次のステップに進んでいます。また、日本語科を卒業したあとに日本語通訳ビジネス科や日本語教師養成科に進み、日本での就職を目指す人もいます。

学園内の学校に進学する場合は、入学金や選考料の一部が免除されることがあります。進学先によってはかなり大きな学費の減免が適用されることもあり、大きなメリットの一つとなっています。

学校生活を経て学生に見られる変化は

日本語能力だけでなく、生活面や精神面においても大きく成長する学生が多いと思います。毎日授業を受けながら自立した生活を送り、自然と規則正しい生活習慣が身についていきます。また、時間の使い方を意識することで、学業とプライベートのバランスを取る力も養われます。

さらに、世界各国から集まるクラスメイトとの日常的な交流を通じて、異文化への理解が深まり、自分自身の視野も広がっていきます。

本校では、学生が「なぜ日本で学ぶのか」という目的を見失わないように、卒業後の進路について担任との面談や出願書類の指導、面接指導などを通じて、自分の目標や動機を見つめ直す機会を提供しています。「将来ファッションデザイナーになりたい」「クリエイティブな分野で働きたい」など、明確な夢を持って入学する学生もいれば、日本での学びや生活の中で進路を再考し、新たな目標を見つける学生も少なくありません。

自分が日本に来た目的に気づいた瞬間、学生たちはより意欲的に学び始め、日本語力も一気に伸びていきます。このプロセスは、単なる言語学習にとどまらず、学生が自分自身を見つけていく旅であると言えるでしょう。

関連記事