「プロフェッショナルとして日本で働きたい」と考えている人にとって、ビジネスに必要な日本語を話す能力は欠かせません。約80年にわたりグローバルな人材を育成してきた日米会話学院では、そうしたニーズに応えるため、成人外国人がビジネス日本語を集中的に学べる日本語研修所を運営しています。
今回は日本語研修所の広報担当をする、伏見さんにお話を伺いました。
異文化理解の架け橋として設立された伝統ある語学学校
――学校の歴史について教えてください
日米会話学院は、第二次世界大戦が終わった直後の1945年に設立されました。「日本人が英話を話し米国人と対等に対話できるように」との理念のもと、創立されました。創立者の武藤富男は「世界平和にはお互いの文化を理解することが大切であり、言語はそのための架け橋だ」という信念を持っていたので、いずれは外国人にも日本語を学んでもらう場を設けたいと考えていました。
その後、日本は高度経済成長期に入り、日本人が海外で活躍する場も増えました。そうした影響もあり、1967年には成人外国人向けの日本語学校として日本語研修所が開設。世界各国の人々に日本語や日本の文化を学んでもらい、お互いの言語を超えてコミュニケーションを図る場として誕生して以降、58年間四谷で運営しております。現在は、日本に派遣されてきた外国人や卒業後すぐに日本で働きたいと考える外国人が、実践的な日本語を学ぶ場として機能しています。
――日本語研修所の特徴は
教育面での大きな強みは、実用的な日本語を指導していることです。実際の職場ですぐに使える会話力を重視し、授業では本校が独自に開発したビジネス会話中心の教材を使っています。働く場でも通用する日本語力の習得に加え、就職に必要なJLPT(日本語能力試験)の構座も開講しております。
また、さまざまな国籍の学生が在籍していることも特徴です。アジアや北米、ヨーロッパをはじめ、世界各国の人々が本校にやってきます。年齢層は比較的高めで、大卒者がメインで、社会経験のある人や博士号を持っている人も入学します。学生の大半が成人ということもあって、教室の雰囲気は落ち着いていて、集中して学べる環境が整っています。

――コースの詳細を教えてください
一番人気なのは、平日の9時〜12時30分に授業を行う「平日集中コース」です。ビジネス日本語を中心に、日本語全般の聞き取りや文法、読解などを学習できる内容になっています。
留学ビザを取得して1~2年間履修する一般コースと、留学ビザ以外の人でも受けられる3ヵ月ごとの短期コースがあり、現在は両コース合わせて50名の学生が在籍しています。クラスは日本語の習熟度に応じて10名程度ほどに分かれるので、より個別に対応した効果的な学習が可能になります。
日本語でプレゼンテーションを行う授業もあり、働くうえで役立つ知識が身につくと評判です。卒業生からは「就職した次の日から困らずにすんだ」という声もいただいています。ほかにも、国内外問わず、遠方に住んでいる方でも気軽に学べる様に、全てのプログラムで原則オンラインでも授業を受けていただけます。1人1人の目的・時間に応じた提案ができるプライベートレッスン、平日は忙しい方向けの夜間・土曜日のクラスなども用意しています。
学生へのサポート体制は

日本語研修所のスタッフの多くは海外で暮らした経験があるので、外国から日本に学びに来た学生の気持ちを理解しながら親身になって相談に応じる環境が整っています。学習面はもちろん、病院の付き添いや住まい探し、行政手続きのサポートなど、生活面のサポートも手厚く行なっています。住居サポートについては、学生寮はありませんが、契約した不動産会社から各学生のニーズに合わせた住まいの情報提供を行なっています。
学生の多くは就職を希望しているため、就職相談や履歴書の添削、面接練習などのサポートも実施しています。大学院に進学したいという希望がある人には、書類の添削などの支援もしています。
その他のアクティビティは

課外活動として、日米会話学院で英語を学ぶ日本人学生と、日本語研修所で日本語を学ぶ留学生が参加するランチミーティングが3ヵ月に一度開催されます。この交流イベントは、言語や文化を相互に学び合う貴重な機会となっており、学習体験をより豊かにしています。
また、成人の学生が多いので、一般的な観光コースではなく、ゴミ処理施設の見学や落語鑑賞、相撲体験といった、日本文化をより深く知るための場所を選んでいます。社会人経験がある学生も多いので、真面目に見学して学びにつなげていく人が多いですね。
さらに、就職を目指す学生に向けたキャリアセミナーや、起業を希望する方向けのセミナーも定期的に開催しています。