学生バイトやパートタイマーから技能実習生、特定技能、正社員まで幅広い外国人材を採用

新日本ビルサービス株式会社 東京営業部 マネジャー
狩野メリーさん
首都圏のホテル、学校、病院などの清掃業務やビルメンテナンス業を行っている新日本ビルサービス株式会社では、入社後の教育・支援に注力することで、日本語のレベルに関わらず多くの外国人材を採用している。
ご自身もフィリピン出身で、面接に始まり外国人材のサポート全般を担当している、東京営業部マネジャーの狩野メリーさんに話を聞いた。
採用面接で日本語の能力は重視しない

――現在の外国人材の採用状況は
約1,600名の従業員のうち、外国人材は約200名(2024年3月期現在、以下同)。国籍は約20ヵ国と多岐にわたり、なかでもフィリピンは全体の半数以上を占める139名と最も多く、ミャンマーの37名、ネパールの29人、ベトナムの16名と続いて、インドネシアは5名となっています。
あらゆる業界で日本人の人材不足が叫ばれていますが、弊社も例に漏れず、いくら給料を上げて募集をかけても全然人員が入ってこない。それで近年は外国人材に頼らないといけない状況になりました。
――外国人材の主な採用手法は
会社のFacebookに随時、英語・ネパール語・ミャンマー語・ベトナム語の4ヵ国後で求人情報を掲載しています。それを見て応募してくるのは、アルバイト希望の学生さんと、
弊社に勤務しているスタッフさんの紹介で入ってくるケースも多いです。そういった方々は日本人の配偶者がいて永住ビザをお持ちなので、パートタイマーとして比較的長く働いていただいています。また、まだ少ないですが技能実習生の受け入れも行っています。

――面接・採用時に重視する点は
うちの会社では、日本語のレベルが低いからといって不合格にはしません。
人材採用は、ある意味“賭け”じゃないですか。「ちょっと厳しいかな……」と思った人が長く続くこともあるし。だから性格的に真面目そうであれば、たとえ日本語がつたなくても、きちんと教えて心をつなげられれば絶対にできるようになると思っています。
日本語があまりできないために、仕事はしたいけれどなかなかうまくいかないとか、現場でケンカになるとか、誤解されるといった外国人材がたくさんいます。私はそういう人たちを手伝いたい、ヘルプしたい気持ちが強いんです。
採用した人には会社の指針や規則、日本の文化・ルールなども基本的なことから説明して、「仕事が決まって生活もちゃんとできるから、あとは頑張って努力してくださいね」という話をします。
実際に働き出したら、はじめの1週間くらいは一人ひとりの現場に私が毎日行ってフォローもします。そういうシステムにしちゃったんです。日本語はそんなに簡単には覚えられないけれど、仕事を覚えれば問題も起こしません。
外国人の正社員がもっと増えてほしい

――外国人材から会社に対する要望について
職場の人間関係などのトラブル、仕事のシフト、給料などの待遇面から家庭の問題まで、本当にいろいろな相談を受けます。電話で対応することもありますが、なるべく会いに行って本人の顔を見て解決するようにしています。
もっと仕事量を増やしたいという場合などは、各現場の担当者に連絡して、できる限り本人の希望に合わせつつ無理のない範囲でお願いします。
将来的な話であれば上司にもつなぎますが、その前に「目指すことがあるなら自分は何ができるのか、聞かれた時にちゃんと示せるようにしておかないといけないよ」という提案をさせてもらいます。
――特定技能取得などキャリアアップ希望者への対応は
社内に特定技能の担当者がいて、資格取得を目指す人たちに試験勉強の指導やさまざまなサポートを行っており、現在1名のミャンマー出身者が特定技能2号に挑戦中です。
2018年に入社した技能実習生の第1期生の1人は、ホテルの清掃からスタートし、日本語も一生懸命に勉強してどんどんレベルを上げて、3年後に特定技能2号に合格。昨年から就労ビザに切り替え、現在は契約社員として勤務していて、新しく入った外国人材の通訳をしたり、指導に当たったりしています。今後は、おそらく正社員になると思いますね。
――外国人材に今後、期待することは
現在、外国人の正社員は私を含めて4名います。他の3名は学生時代にアルバイトとして入って長く勤務してきて、ベトナム出身の1名は3年前に、ネパール出身の1名は昨年から、フィリピン出身の1名は今年からやっと正社員になりました。弊社では、アルバイトやパートタイマーからでも正社員になることは可能です。能力があって、会社のために働きたいと思ってくださる方ならば、外国人材の正社員はもっと増えてほしいと、私は考えています。
東京営業部に在籍する外国人材の方々には都内のホテルや学校などの清掃業に入っていただいていますが、ビルなどの設備・管理業は他エリアで行われていて多くが日本人です。雇用のルール上難しいとは思いますが、技能実習生も何人か受け入れているので、ビルメンテナンス業に携わりたいという方が目指すこともできます。