得意な歌を通して入居者を笑顔に。介護福祉士の資格取得を目指して地道に頑張る

デデさん
(DEDE)
西ジャワ・スバン市出身
人の役に立てる介護の仕事に憧れて
18歳の頃に「安全できれいな国である日本に住みたい」という思いを抱いたデデさん。高校卒業後は洋服を作る工場で働いていたが、退職して日本語学校に入学し、20歳で技能実習生として来日。
「自分の家族の世話ができて、人の役にも立てる介護の仕事を探していたのですが、当時は求人がなかったので、埼玉県深谷市で野菜の栽培や収穫をする仕事に就きました。農業は全く経験がなく、体を使う業務が多くて大変でしたが、頑張って仕事を覚えました」
2024年に介護の特定技能のビザを取得し、メディカル・ケア・サービスに入社。現在は同社が運営する埼玉県川口市内の「愛の家グループホーム」で、要介護認定を受けた認知症の入居者を介護する仕事に携わっている。

自分の得意な歌を生かし入居者を楽しませる
勤務形態は、早番(7時~16時頃)、遅番(10時~19時頃)、夜勤(16時~翌10時頃)の3交代制(事業所により時間の変更あり)。入居者への食事の準備や服薬・入浴の介助のほか、散歩の付き添いや就寝準備など幅広い業務を行う。
人と話す機会が少ない農業から入居者と密に関わる介護業への転職。当初は日本語でコミュニケーションをする自信がなかったという。また、入居者の記録が書かれた書類にはたくさんの漢字が書かれていて、意味や読み方を理解するのに苦労した。
「日本人の先輩にわからないことを質問したり、読めない漢字を帰宅後に調べたり、一つ一つのことを地道に覚えました。最初は仕事に対する自信が持てませんでしたが、1ヵ月くらいでだんだん慣れてきて、今では夜勤もこなせるようになりました」
さまざまな業務がある中で、デデさんが最もやりがいを感じるのが歌のレクリエーションの時間だ。特技の歌を生かし、「リンゴの唄」など入居者たちからリクエストがあった歌を覚えて一緒に歌っている。歌が好きな人たちが多く、皆で楽しんでいるそうだ。
クリスマスには、インドネシアの有名な歌である「Tanah airku(わが祖国)」を日本語に訳して披露。母国への想いを馳せる歌詞に、自分の故郷を重ねて切なげな表情を浮かべる人など、入居者たちはさまざまな反応で喜んでくれた。
「皆さんが優しいので、一緒に食事やレクリエーションをして過ごす時間がとても楽しいです。介助をしたときに『ありがとう』や『すみませんね』と声をかけてもらえると、もっと仕事を頑張ろうという気持ちになります」
介護福祉士の資格取得を見据え、目の前の仕事に全力を
真面目に業務に取り組む姿が印象的なデデさんだが、休日は同じ介護業界で働くインドネシアの友人とともに遊びに出かけ、羽を伸ばしている。カラオケでストレスを解消した後、インドネシア料理店で母国の味を楽しみながらお互いの近況を語り合う。休みの予定が合わない日は筋トレやジョギングで体を鍛え、気持ちをリフレッシュさせている。
「日本に長くいたいので、将来的には介護福祉士の資格を取りたいです。今はまだ試験を受ける自信がないので、まずは勉強や仕事をもっと頑張ります。また、歌うことが好きな入居者さんが多いので、今後はカラオケをレクリエーションに取り入れられないか提案してみたいです」
日本で働きたいと考えている後輩たちに向けてひと言。
「日本はいい国で、たくさんの経験を積めるしお金も稼げます。豊かな生活を送りたいと考える人には、チャンスがあれば日本で働くことをおすすめしたいです」
