自然と調和する日本の家
日本の伝統的な家は、土地の気候や、そこに住む人々の生活に合わせて、独特の構造を持っています。暑い季節には涼しく、寒い季節には暖かく過ごすことができ、長く住み続けられるように、先人たちの様々な知恵や技術が詰まっています。今回は、日本家屋についてご紹介しましょう。
家の外と内を分ける入口「玄関」
日本人には「外」と「内」を明確に分けるという考え方があり、「玄関」はその境界となっています。日本人はまずこの場所で靴を脱ぎ、段差を一段上がって、家の中に入ります。玄関は靴や傘などを置いておく場所でもあります。また、玄関は日本の住居の顔ともいわれ、家族写真や花などを飾る人もいます。
植物で編まれた床材「畳」
日本家屋の床には、イグサという植物で編まれた「畳」が用いられます。日本は湿度が高いため、通気性の高い畳は床材としてはうってつけです。さらに、防虫効果、調湿効果、吸音性に優れ、肌ざわりも良いです。日本には家の広さを畳の枚数を単位として計る習慣もあるなど、畳は日本人の生活と文化に深く根付いているのです。
木と紙でできた扉「障子」
「障子」は日本ならではの建具です。これは木を格子状に組み合わせて作った板に、薄い和紙を貼ったものです。日本の伝統的な家では、部屋同士の仕切りは扉ではなく、障子を用います。薄い紙でできているため、耐久性や強度はありませんが、外の光が差し込み、開放的な室内空間をつくることができます。最近では、そのデザイン性が注目され、洋風の住居で障子が使われるケースも増えてきました。
昔ながらの日本家屋は減りつつありますが、洋風の家やマンションでも、日本人の暮らしに合わせた様々な工夫が凝らされています。日本に訪れる機会があれば、ご自身の国の家との違いを探してみるのも楽しいかもしれません。
また、江戸東京たてもの園には、江戸時代から戦後にかけて建築された歴史的建造物が多数展示されています。こちらもチェックしてみてください。