2025年07月14日

インドネシア料理「Toko Suka」:ふるさとの味を再現したミーアヤムやバクソーを東京の下町で味わう

Toko Suka(トコ・スカ)

多様性にあふれ魅力的な都市・東京には、数多くのインドネシア料理店が存在しています。2025年2月にオープンした蔵前にある「Toko Suka(トコ・スカ)」は、その中でも数少ない、インドネシアの家庭料理を楽しみながら母国の食材を購入できるお店です。

アットホームな雰囲気は、日本で暮らすインドネシア人や新しい味に出会いたい日本人に向けて、心温まる料理と幸せな時間を届けています。

母国の料理はただの食事ではなく“心の支え”

Toko SukaのTokoは日本語で「お店」を意味し、Sukaは「好き」という意味です。

「日本人も発音しやすいので覚えやすく、言葉の意味もポジティブ。お店に来てくれた人が、料理や雰囲気のすべてを“好き”になってくれるようにと思い名付けました」と、オーナーのテレシアさん。

この店をオープンしたきっかけは、彼女が日本で暮らし始めたばかりの頃に感じた“ホームシック”でした。インドネシア料理特有のピリッとした辛さや本場の味を恋しく思った彼女は、母国の味を求めて日本のインドネシア料理店に行きました。しかし、多くの店は日本人好みの味付けにアレンジされており、辛味もあまり感じられないものばかり。

「もっとふるさとの味に近いものを食べたい」と思いながら自分でインドネシア料理を作っているうちに、異国で生活するうえで心の拠り所になる、本格的なインドネシア料理のお店を開きたいと思うようになりました。

日本にいながら帰郷ような気分が味わえる

Toko Sukaは、ミーアヤム(味付き鶏肉をのせた麺)とバクソー(ミートボールのスープ)を本場のスタイルで楽しめる店をコンセプトにしています。インドネシアにあるミーアヤムやバクソーのお店は、日本の蕎麦屋やラーメン屋のように、一つの料理を専門に提供しています。テレシアさんは、「自分にとって特別な懐かしの味やお店の雰囲気を日本でも再現したい」と話します。

レシピはすべてオリジナル。日本人の口に合うように調整しながらも、本場の味わいをそのまま再現しています。

店内は2つのスペースに分かれており、1階はインドネシアの調味料や食品の売店、2階はミーアヤムとバクソーを提供するレストランとして営業しています。食事も買い物もできる伝統的なお店のスタイル“ワルン(warung)”から着想を得ています。

「インドネシア語で話しながら家庭の味を楽しんで、ふるさとにいるかのような気持ちになってほしい」というテレシアさんの思いが込められています。特に日本に住むインドネシア人コミュニティからの支持が厚く、来店客の約70%がインドネシア人です。ほかにも、ハラール料理を求めてやって来る外国人観光客や、本場の味に興味がある日本人も訪れます。

お客さんが増えたことから、今ではキッチンや売店のスタッフを増やして小さなチームを作って営業しています。飲食業界で働いた経験がある夫や日本人スタッフ、お客さんからの意見を取り入れながら、よりよいお店づくりを目指しています。

食材にこだわったハラール料理を手頃な価格で

テレシアさんが大切にしていることの一つが、安心して食べられるハラール料理を手頃な価格で提供することです。

日本でハラール食材を取り扱う業者はいますが、輸入などのコストがかかるため、その多くが高価です。テレシアさんはいくつかの業者を比較したうえでコストパフォーマンスの高い仕入れ先を探し、さらに食材の代用や調味料のバランスを調えるなどの工夫を重ねながら、安くておいしい料理を提供しています。

Toko Sukaの今後の目標は、大阪や名古屋といった他の大都市にも店舗を展開していくこと。テレシアさんは、「ジャカルタまで帰らなくても、日本国内で“ふるさとの味”が楽しめる場所をもっと増やしたい」と語ります。

また、日本の人々にも、インドネシアにはナシゴレン以外にも多くのおいしい料理があり、その奥深い味わいと魅力をもっと知ってもらいたいと考えています。

インドネシア人のコミュニティの場を作ることが夢

テレシアさんはもう一つ、Toko Sukaに対して大きな夢を持っています。それは、この店を単なる飲食店ではなく“コミュニティの場”にすること。訪れた人を温かく迎え入れ、スタッフやお客さん同士が気軽に話せるような空間にしたいと願っています。

「人間の基本的な欲求である食事を通じて、人と人との“ぬくもり”や“つながり”を届けたい」と彼女は話します。

海外での暮らしには、寂しさや不安がつきもの。しかしテレシアさんは、食べ物には人をつなぎ、前向きにしてくれる力があると信じています。

そんな彼女から、「Japan View」のユーザーに向けて一言。

「もしホームシックになったら、思い切って外に出て、人とつながって、何かを始めてみてください。インドネシアのコミュニティは広いので、皆がお互いを支え合っています。実家が恋しくなったら、蔵前のこのお店に来てください。ここには、あなたを迎えるミーアヤムとバクソーがありますよ」

Toko Suka
https://sukajpn.carrd.co/

住所:東京都台東区蔵前3-15-4 NEST蔵前1F、2F
アクセス:大江戸線「蔵前駅」, 浅草線「蔵前駅」
営業時間:12:00~20:00
定休日:月曜日
電話番号:070-8492-5331
インスタ:https://www.instagram.com/sukajpn/

メニュー(一例):
オリジナルバクソー 1000円
バクソースカ 1200円
ナシティムアヤム 1100円
ミーアヤム 1100円
ミーアヤムバクソー 1300円
飲み物 350円 ~ 450円