2025年04月07日

礼拝スペースを併設した、母国の味を楽しめるカフェ。日本で働くインドネシア人の憩いの場に

インドネシアカフェ HARAPAN

インドネシアゆかりの料理やハラル食材を提供

神奈川県横須賀市と三浦市の中間地点にある、礼拝スペースを併設したインドネシアカフェのHARAPAN。インドネシア語で「希望」を意味するこの店では、定番のインドネシア料理や日本ではなかなか買えない現地の食材・調味料を提供している。

礼拝スペース

フードメニューは、ミーバクソ、ミーゴレン、ナシゴレンの3つ。そのほか、インドネシア産の豆を使ったコーヒーやJavaティーなども用意されている。

店内には現地で調達したハラル食材や調味料、雑貨などが並び、日本で働くインドネシア人が母国の味を求めて訪れる。中でも、インドネシアのインスタント麺「インドミー」と甘い味のソース「ケチャップマニス」が人気だ。

インドネシア人材を数多く採用する介護企業が運営

HARAPANを手がけるのは、神奈川県を中心に約30ヵ所の介護施設を運営し、特定技能のインドネシア人材の紹介・支援事業を行う株式会社スマイル(以下、スマイル)だ。同社では2020年からインドネシア人材を採用していて、「勤勉に働いてくれる彼らが働きやすい生活環境を整えたい」という思いから、2022年4月にオープンした。

当時インドネシア人材を採用していた事業所は横須賀市と三浦市の2エリアにあったが、周辺にはムスリムが「礼拝」をする場所がなかった。インドネシア人の多くはイスラム教を信仰しているので、身近なところに「ムショラ(小さな礼拝所)」を作ろうと決めた。

取締役・管理本部長の亀割貴志さん(以下、亀割さん)は、「ムショラを作るに当たり、礼拝スペースを設けている大型施設や空港、駅などを見学しました。特に今のHARAPANに強く影響を与えたのが、宮城県気仙沼市にあるインドネシア料理店のWarung mahal(ワルン・マハール)です」と言う。

気仙沼市は漁業や水産加工業が盛んなことから、インドネシアの技能実習生が多く働いていて、町全体にもインドネシア人を受け入れる空気ができあがっている。そんな中でWarung mahalもインドネシアの技能実習生たちが暮らしやすくなるために作られた場所で、店の横にムショラを併設していた。

当初はムショラだけを作ろうと考えていた亀割さんだったが、「こうした形態であれば、礼拝以外にも彼らの生活をサポートできるのではないか」と考え、HARAPANをオープンしようと決めた。

日本で働くインドネシア人のコミュニケーションの場に

現在は通常の店舗運営に加え、毎月第3日曜日にはインドネシア料理のキッチンカーが出展する「HARAPANフェス」を開催している。この日はスマイルの事業所や周辺地域で働くインドネシア人たちが訪れ、自分たちの仕事や生活について語り合う姿が見られるという。

また、営業時間外には礼拝スペースの貸し出しも行っており、ラマダンの時期には「お祈りのために貸してほしい」と相談されることもある。

HARAPANの運営に携わる常務取締役の嘉山仁さんは、「ここがきっかけとなり、地域全体でムスリムやインドネシアの文化に対する理解が得られたら」と語る。「新たな試みとして、スマイルの事業所で月に一度インドネシア料理を振る舞う『出張HARAPAN』も始めました。ゆくゆくは自分たちの事業所以外にも出張してインドネシアの文化を広めていき、彼らがもっと働きやすい状況を作っていきたいと思います」

インドネシアカフェ HARAPAN
https://harapancafe.hp.peraichi.com

住所:神奈川県横須賀市長井1-12-5
アクセス:京浜急行バス「小根岸駅」下車すぐ
営業時間:11:00~16:00
定休日:水曜日
電話番号:080-3089-3959

メニュー(一例):
ミーバクソ/ミーゴレン/ナシゴレン いずれも700円
(ドリンクAセット 1,000円/ドリンクBセット 800円)
コーヒー(アイス・ホット) 400円
ジャスミンティー/Javaティー/オレンジジュース 300円